あの夏の空に掌をかざして
「もうやだ!いや!あたしばっかり、こんなの、いやぁぁぁ!」
手当たり次第に、手に取った物を投げていく。
ガシャーン、パリーン。何かが割れるような音がする。何かが壊れるような音がする。
近所迷惑かもしれない。
だけど、そんなこと憚らなかった。
ガシャン!パリン!
あたしの泣き叫ぶ声の中に、破壊されるような音が聞こえてくる。
あたしは、もう何も考えられなかった。
だから、家のチャイムが鳴っていたことにも、気付くことはなかった。
「あかりちゃん!?」
ノックもせずにドアを開き、日向が焦ったような声で、あたしにも駆け寄ってくる。
「あかりちゃん!」
尚も暴れ続けるあたしを、日向は抱き締めた。
「っひなた」
あたしは、日向の姿を確認して、ホッとしたのか、気を失ってしまった。
日向の胸の中は、あったかくて、すごく安心した。