あの夏の空に掌をかざして
「……なに、これ…」


 辺りを見回すと、そこは変わり果てたあたしの部屋だったのだ。


 破れたカーテン、割れた写真立て、綿がはみ出ているクッション。


  そっか、あたし、すごい暴走したんだっけ。けど、こんなになるまでなんて……。


 少なからずショックを受けたが、片付けようにも、日向が左手を握っていて、動くこともできない。


「起こすのは可哀想だしな…」


 辛うじて、床だけはキレイに掃除された跡があった。


「これ、日向が?」


 気を失う前の最後の記憶、日向の焦ったような顔。


 それで、抱き抱えられて…。


「あ、あたし……日向にだ、だっこされたのかな」


 ベッドに寝ていたということは、そう言うことなのだろう。


 お、重くなかったかなぁ?恥ずかしい!!!


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