あの夏の空に掌をかざして
 視線を感じて、日向の方を見ると、さっきの表情とは一転して、心配そうな顔をしていた。


 …あ……あたし、さっき暴れまくったんだったっけ…。


「あかりちゃん、今さらだけど、何かあったの?」


 日向の問いかけに、あたしは何も言えなかった。


 ぎゅぅっと、気まずさを誤魔化すように、ペットボトルを持つ両手に力を込める。


 ずっと黙っているあたしに、日向ははぁ、と呆れたようにため息をついて、ポンっとあたしの頭に手を置いた。


「言いにくいなら、言わなくてもいいよ、ごめんね」


「……」


 ごめん、日向……これだけは言えないよ。


 何だか、心配してくれる日向に申し訳なくなって、あたしは心のなかで、ごめんねを繰り返した。


「じゃあ、今日は出掛けるのやめよっか」


「うん……」


 そう言って、今度は微笑んで、あたしの部屋を、一緒に片付けてくれた。
< 124 / 203 >

この作品をシェア

pagetop