あの夏の空に掌をかざして

 あたしと日向は、二人でリビングのソファーに座っていた。


 日向が心配して、「まだ眠っとく?」と言ってくれたけど、もう眠くなかったし、日向と離れたくなかったから、頭を横に振って、"嫌"だと示した。


 すると、日向は気を使ってくれて、生地の薄い毛布をあたしに掛けてくれて、ソファーに座らせてくれた。


 なんだか、日向の優しさがくすぐったい……。


 病気のときみたいに、いつもより優しく扱ってくれて、胸がきゅぅーとする。


「何か持ってこよっか?」


 立ち上がりかけた日向の裾を掴んで、もとの位置に座らす。


「…一緒に……いて」


 日向の肩に頭を預けながら、あたしは蚊の鳴くような声を絞り出した。


「はいはい」


 ポンポン、と頭を撫でながら、日向は子供にするように、そう言った。


 また子供扱い……。


 ほんの少し、引っ掛かるものを感じたが、何だか疲れていたし、何だかんだ嫌いじゃないから、なんにも言わず、それを受け入れた。
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