あの夏の空に掌をかざして
 ……楽しむ。


 そんなこと、考えたこともなかった。今まで、ずっと助けることしか考えてこなかったから。


「…そっか、そうだね!ありがと、日向!」


 屈託のない笑顔を浮かべたあたしを見て、日向は安心したように笑った。


「ま、出来ることなら、あかりちゃんとずっと一緒にいたいけどね」


「へ…」


 間抜けな声を出したあたしに、日向は笑って、「僕、あかりちゃんがだーいすきだから」とイタズラっぽく言い、あたしを抱き締めた。


 かぁー!と、顔の温度が急上昇する。日向におちょくられてるだけなのに、心臓は早鐘を打ち、止まる気配がない。


 わぁ~!心臓とまれ~!!日向に聞こえちゃう!!


「あはは、すごいドキドキしてるよ」


「う、うるさいな!」


 今度は差恥心に顔を真っ赤にし、頬を膨らませて怒る仕草をする。


 すると、日向は笑いながら謝って、あたしのご機嫌をとろうとするから。
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