あの夏の空に掌をかざして
「ふふっ、あかりちゃん、かわい」


 目の前に、日向の満円の笑み。


「っっ!」


 あたしにはインパクトが強すぎて、耳まで赤くなりながら、顔を後ろにのけ反らせる。


 そんなあたしを見て、日向は更に面白そうに笑みを深め、踵を返して、クスクス笑いながら、出口に歩き出した。


「あかりちゃんは面白いなあ」


 ぽつーんと取り残されたあたしは、暫く呆然としていたが、ハッと我に返った。


「ば、ばばばばかぁ!!」


 スタスタ歩いていく日向の後ろ姿を追いかけ、ちょっとだけ文句を言ったのだった。









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