あの夏の空に掌をかざして
 日向は頭をポンポンと撫でるだけで、何も言わなかった。


『次の方~!お乗りくださ~い!』


 メガホンで案内をする、テーマパークの従業員のお姉さんに従って、あたし達は荷物を仕舞い、アトラクションに乗った。


「わぁ!あたし達、一番前だ~!」


 一番前に並んでいたので、必然的に一番前になったのだ。


 あたし的には、できたら一番前は避けたかったけど、結局どこも一緒だろうと自分を納得させて、割りきる。

 安全装置を下げて、準備万端だ。


「楽しみだね」


 いつもより、ほんの少し弾んだ日向の声を聞いて、あたしも嬉しくなった。わくわくも更に増した。


「うん!」


『それでは、絶叫体験をお楽しみください~!』


 お姉さんのその声を合図に、ジェットコースターが走り出す。


 胸のドキドキは、最高潮だ。


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