あの夏の空に掌をかざして
 まずは、高いところから一気に落下するところだ。


 今は、その為にゆっくりゆっくり、登り坂を登っている。


 その過程が、早鐘を打つ心臓を、更に煽り立てる。


「きゃぁ!高い~!」


 一番高いところで1度とまり、そして、一気に加速する。


「きゃぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」


 耳をつんざくような、上向きの爆風と、搭乗者の叫び声。


 そこに、当たり前にあたしの声も含まれていて、恐怖心と、それを上回る楽しさを、大声を出すことで、発散しているようだった。


 上がったり下がったり上がったり。回ったり。


 そこからは、もう何がなんだか分からなかった。


 下がるときの浮遊感が、凄く気持ちよくて、まるで鳥になって飛んでいるかのような錯覚に陥る。


 ただ、楽しすぎて、日向の様子に気づくことが出来なかった。


 ジェットコースターを降りる頃には、日向はベンチにダウンしていた。
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