あの夏の空に掌をかざして
「これ買ってきたよ!……大丈夫?」


「あはは……ごめんね~、…大丈夫だよ」


 日向は、あたしからキンキンに冷えてあるお茶を受け取り、一気に喉に通した。


「っ…」


 ごくり、ごくりと、日向が飲む度に動く喉仏が、なんだか色っぽくて、直視できなかった。


 …お茶飲むときまで、あたしのことこんなドキドキさせられるの、日向だけなんだよ……わかってる…?


 そんなことを思っても、伝わらないなんてことはとっくの昔に分かってしまっていて、少しだけ虚しくなる。


「…日向、ごめんね、あたしのせいだよね……」


 そんな気持ちと相まって、更に罪悪感が募り、ネガティブが膨らんでいく。


 日向とのデートが嬉しくて、楽しくて、はしゃぎすぎた結果がこれだ。


 日向は、自嘲するように笑うあたしを見て、言った。


「あかりちゃんのせいじゃないよ、僕は、あかりちゃんの楽しそうな笑顔が好きだから、だから、今凄く嬉しいんだ」

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