あの夏の空に掌をかざして
『覚えてないの?あんた、迷子になっちゃって、公園で一人で泣いてたのよ』


 ドクン、なにか、大切な予感がした。


「…それ、いつのこと?」


『そうねぇ、いつだったかしら…』


 お母さんは、そう言い、思い出したように『そうそう』と言った。


 "確か、あんたと日向くんが6歳のころだったわよ"


 点と点が、繋がったような気がした。


 放心状態になって、スマホを持っている手の力がぬけ、だらりと垂れる。


< 149 / 203 >

この作品をシェア

pagetop