あの夏の空に掌をかざして
 日向が、来た。


 あたしは1階に降りて、開け慣れた家のドアを、ゆっくり開けた。


 そこには、当たり前だけど、日向がいた。


 目を見開いて、固まっていた。そして、ハッと我に返った様子で、口を開いた。


「おはようあかりちゃん、なんか、今日は雰囲気ちがうね」


 微笑んで、日向はそう言う。


 もう何回も、聞き慣れた言葉を。


 …こんなんじゃダメだ!これが、運命の1日になるんだ!最後まで、明るくいたい!


「…おはよう!日向も、カッコいいよ!」


 少しだけ悲しくなったけど、心のなかで、自分を奮い立たせて、出来るだけ明るく挨拶する。


 思っていることも、きちんと伝えなきゃね。


「すごい似合ってるよ、あかりちゃん、可愛い」


 そう言ってくれると、何回でも、あたしは嬉しくなって、胸が高鳴る。


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