あの夏の空に掌をかざして
 あたしが言うと、日向は「へぇ」と言った。


 …それだけ?日向は、どうでもいいのかな。


 嫌な考えが頭によぎって、何だか悲しくなった。


「でも、そんなジンクスなくても、僕らはずっと一緒だよ?今までも。これからも。」


 日向の、笑顔。


 花が綻ぶような、それ。


「うん。………そうだね」


 あたしは、それしか言えなかった。


 やめてよ。期待させるようなこと。


 あたし達は、"ずっと"なんてーーーーーー。


 想いが、蓋を開けたように溢れだした。


 行き場がなくなって、出よう出ようと、胸に収まりきれなくなる。


 苦しくなって、だけど愛おしくて。


「っ日向…あたし」


 いつの間にか、口をついて出ていた。


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