あの夏の空に掌をかざして
「あたし、あたしねーーーー」


『当水族館にご来客の皆様~!これからイルカショーが始まります!ぜひ見に来て下さ~い!』


 あたしの告白は、水族館のアナウンスに遮られた。


「あかりちゃん?なんか言った?」


 ブンブンと首を振り、「な、何でもない!」と、否定する。


「じゃあ、次はイルカショーいこっか?」


 あたしは話題が変わったことにホッとして、無意識にこくりと頷いていた。


 そして、屋外のプールへと歩き出す。


 あたし、何を言おうとしたの…?ダメ。言ったら、終わっちゃう。日向の事、困らせたりなんて、出来ないよーーーーー。


 悶々と、そんなことを考えていると、いつの間にかプールに着いていた。
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