あの夏の空に掌をかざして
「っっっ!!」


 あ、あたしが………見えてるの?


 そう聞こうとするけど、混乱していて、口はパクパク動くだけで、声の出し方を忘れてしまったかのようだった。


「あはは!!ほんとーに変わんないね!あの頃から!」


 陽くんという男の子は、あたしを見て、特有の甲高い声でケラケラと笑っている。


 顔は日向だけど、日向より活発で、日向より元気っ子で、日向より子供っぽい。


「あなたは………だれ?」


 絞り出した声は、掠れていた。


 陽くん、もとい男の子は、さっきと打って変わって優しく微笑み、口を開いた。


「ボクは、日向の双子の兄ちゃんだった、浜崎陽(はる)だよ」


「っ!!」


 驚いた。いやに似ていると思ったら、まさか双子だったなんて。


 でも、日向はそんなこと、一言も………。


< 172 / 203 >

この作品をシェア

pagetop