あの夏の空に掌をかざして
 それに比べて、あたしは………。


「そんなことないよ!」


 凛とした声が聞こえた。


「ボクは、あかりちゃんがいたから、頑張れたんだよ!あかりちゃんが、助ける度にありがとうって、言ってくれたからっっ…」


 悲痛な顔で、声で。まるで、何かを懇願しているような。


「ありがとう、あかりちゃん…もう、忘れてるはずだけど」


 そして、悲しそうに、優しく微笑んだ。


 まだ幼稚園ほどの男の子のこんな表情は、一番心苦しいものだ。胸の奥が、きゅうっと痛んだ。


「…ごめんね、忘れちゃって。だけど、ありがとう、助けてくれて!」


 何が出来るか分からなくて、せめて、笑ってお礼を言った。そうすると、陽くんも、満円の笑みを浮かべた。


「それで、今までのことだけど………」


 陽くんがあたしの頭に手をかざすと、そこからあの光が現れ、頭に映像が浮かんできた。


 陽くんは、ポツリポツリと話始めた。
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