あの夏の空に掌をかざして
 膝から地面に崩れ落ちる。


 あたしの心も、壊れる寸前だった。


「じゃ、じゃあ…あたしは、消えるの………?」


 恐怖感のなかで、漠然に思ったことは、それだった。


 途端に、虚無感と倦怠感に襲われる。


 あたしが今までしてきたことは、何だったんだろう。何が出来たんだろう。


 目の前が真っ暗になる。


 これまで足掻いてきたことが、何だかとても滑稽に思えてきた。


「だけど、それで終わりじゃないんだ…」


 聞こえた声に、ぼうっとしたまま、顔を上げる。


 泣くことも出来ないあたしを、陽くんは悲痛そうに見つめていた。


「"助けられる側"だった人は、確かに助かる。だけどっ………」


 そこで区切った。そして意を決したように、口を開いた。


「10年後に、今度は"助ける側"として、ループを繰り返すんだ」


「っっ!」
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