あの夏の空に掌をかざして
「ははは…」


 何だか笑えてきた。


 あたしが滑稽で、バカらしくて。笑えてしまった。


「あたし、何のためにやってたんだろう…」


 笑いを止めて、呟いた。


 これからあたしは消えて、日向にも忘れられて、日向すらも、消えちゃうんだ。


 あたしが、"大事な人"になんかしちゃったから。


「あたしの…せいだよね」


 目の前が滲み、堪えきれなくなった涙が一粒、溢れ落ちた。


 日向が好き。日向が大好き。それが、こんな結果をもたらすことになるなんて。


「ごめん………ごめんね、日向…」


 あたしは、最期まで、日向に迷惑しかかけられない。


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