あの夏の空に掌をかざして
「あかりちゃん………ごめんね」


「え?」


 陽くんの方を見ると、陽くんも、その瞳から大粒の涙をたくさん流していた。


「ボクが、あかりちゃんを大事って思っちゃったから、今こんな風に泣いてるんだよね、ごめんね」


「あ………」


 そうだ、陽くんも、今のあたしと同じなんだ。


 まだ幼いことや、過去の日向と同じ顔をしているだけに、泣き顔もあたしの良心を揺さぶる。


 だけど、陽くんを恨むことは、どうしても出来ない。


 人を想うことは、本人にとってはどうしようもないことだから。


 あたしには、その気持ちがよくわかるから。


「陽くん…陽くんのせいじゃないよ!陽くんは、あたしを助けてくれたじゃん!そのお陰で、今まで生きてこられたんだもん!」


「あかりちゃん、…ありがとう」


 笑った陽くんに、不覚にもドキリとしてしまった。
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