あの夏の空に掌をかざして
 だんだん眠くなっていって、抗うことなく身を委ねる。


 遠退く意識の中で、陽くんの最後のループの記憶が流れてきた。



『あかりちゃん…今までありがとう』


『は、陽くん…?どうしてそんなところにいるの?』


 陽くんは、公園の前の道路の真ん中に立ち、幼いあたしは、信号の所に呆然と立っていた。


 信号の色は、赤だった。


『ボク、あかりちゃんといて、すごく楽しかったんだ』


『あかりもだよ!だから、早くこっちに来てよ!危ないよ!』


 陽くんはふるふると頭を振り、悟っているように、笑っていた。


 遠くから、大型トラックが猛突進してくるのが見えた。


『陽くんっっっ!』


『あかりちゃん……………』




 プップーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキキィィィ!!







「あかりちゃん………………すきだったよ………ごめんね」
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