あの夏の空に掌をかざして
 なのに、入っていたのはスマホと、財布だけだった。


 あたしが、寝てる間に…?


 日向は、人のバックを漁るような人ではない。


 だから、きっとファスナーが開いていて、あたしを運んでいるときに落ちて、それを偶然拾ったときに見えたのだろう。


「これに書いてあることって…全部、本当なの…?」


 日向が、真剣な瞳で、訊いてくる。


 観念して、あたしはため息をついた。


「全部、ほんとうの事だよ」


 日向は少なからずショックなようで、悲しそうな顔をしたあと、あたしを再度抱き締めた。


「あかりちゃんが、こんな事に巻き込まれていたなんて…どうして、言ってくれなかったの?」


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