あの夏の空に掌をかざして
 けれど、現実はあたし達に甘くはないんだ。


「でも、あたしは…死んじゃうんだ」


 日向の瞳に、目を紅く腫らしたあたしの顔が映った。


 体を離して、俯く。


「っな…でも、あのノートには、まだ希望はあるって…」


 日向の言葉に、ふるふると顔を左右に振る。


「倒れたときに、全部分かったの…あたしは、死ぬ」


 日向は青い顔をして、地面を睨んだ。


 あたしも、拳をぐっと握る。


 ごめんね、ごめんね日向。


 あたし達は、一生結ばれることは出来ないんだ。


 日向が好きだった。大好きだった。


 人生の最期に、こんなに人を愛せることが出来て、あたしは幸せだった。


「日向ーーーーーーータイムリミットだ」


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