あの夏の空に掌をかざして
リピートアゲイン
夏真っ盛りのこの日、僕は隣町の"時逆町"という所に来ていた。
「やっぱり、懐かしい…」
水族館に行って、定食屋[さかのぼり]でご飯を食べて、そして、今度はこの公園に来た。
空はすっかりオレンジ色で、真昼の暑さでは考えられないほど、涼しくて過ごしやすかった。
「それって、10年前も来たからじゃないの?」
声のした方を振り返ると、身長が低くて黒髪のロングストレートの女性が、こちらに小走りで近づいた。
僕の彼女の、光夜飛鳥(コウヤ アスカ)だ。
彼女を見ると、無性に撫でたくなる。
「も~!子供扱いしないでよ!」
撫でても、今みたいにそう言って怒るけれど。
「ごめんごめん、でも、そうじゃないんだ。こう、何て言うか…もっと感覚的に…懐かしい、っていうか」
アスカは、小首をかしげた。
その仕草に愛しさが込み上げて、また撫でるけど、アスカは怒る。