あの夏の空に掌をかざして

デート

 デート当日。あたしは約束の10時より、4時間も早い時刻に目が覚めた。


「…なんだったんだろう、あの夢…」


 女の子はどうなったんだろう、いや、きっと助かってはいない。あの高さから、あの速度で落下してきたものが当たったのだ。重体のはずだ。想像するだけで、背筋が凍る。


 はぁ、やだな。よりによって今日みたいな日にあんな夢見るなんて…。


 あたしは、もう気にしないことにして、髪をとかしたり、アレンジしたりして、身なりを整える。


 ネットで検索してやってみても、手先があまり器用じゃないあたしからしたら、"簡単"とあるものも上手くできない。特に編み込みなんかは、全くと言っていいほど出来ない。鏡で出来を確認する度にイライラして、髪をぐしゃぐしゃにしながら乱暴にゴムをほどく。


 …はぁ、アレンジ難しいよ~…せっかく髪キレイってよく言われるのに…。


 あたしの髪は、腰くらいまであるロングストレートで、結構自慢だったりする。ズボラなあたしが、毎日お手入れするくらいには。


 いつもは後ろで一つ縛りにしているが、せっかくのデートなので、たまには可愛い髪型をやってみようと思ったのだ。

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