あの夏の空に掌をかざして


「ごちそうさまでしたー」


「はいよー、またおいでー!」


 [さかのぼり]の引き戸を引いて、あたし達は外に出る。


 あのおばあさんの長話に付き合って、結局外に出れたのは午後4時半ごろだった。


 変な話だったけど、ホントなのかな、あの話ーーーー。


「あのおばあさん面白いね」


「あはは、だね!ねぇ、これからどこ行く?」


 日向の言葉に同意して、これからどうするか訊く。日向は腕組みをし、少しだけ考える仕草をしたが、結局「あかりちゃんはどうしたい?」と、あたしに意見を求めてくる。


 あたしは、日向といれれば何でも良いんだけどな……。


「っ!」


 そんなときだった。左足のかかとの上にピリリとした痛みを感じた。直接見なくても、靴擦れをしたんだろうと容易に考えられる。


 さっきから擦れてる感覚はあったのだが、今さっき皮が破れてしまったのだろう。血が出ていなければいいけど。


 …慣れないヒールを履いたからかな。慣れないことはするもんじゃないね。

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