あの夏の空に掌をかざして


「あかりちゃん?どうかした?」


「……ぁ、ううん、何でもない」


 日向に心配かけたくなくて、ニコリと笑って先を歩く。歩く度に、破れたところが擦れてズキズキ痛むが、もう仕方ないだろう。


「っひゃ!ちょ、何すんの!」


 左足が後ろに持ち上げられる感覚がした。転びそうになったが、何とか持ちこたえる。


 顔だけ後ろに振り向くと、予想通り日向が足を持ち上げ、かかとらへんを食い入るように見つめていた。


 ……バレた。


「ねぇ、血が出てるんだけど?どこが大丈夫なの?」


 冷たい声色に、観念して正直に話すことにしたのだった。
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