あの夏の空に掌をかざして
嫌だな、まだ帰りたくない。それにまだ、なんの進展もしてないじゃん。このまま、このまま何もしないで、ただ遊んだだけで帰っていいの?
あたしはーーーーーやだ。
目の前をズンズン進んでいく日向の気を引くためには、どうすればいい?ううん、ほんとはどうすればいいのか知ってる。それは、
「っ日向、待って!」
日向の手を握って、呼び止める。
「あたし、あたしね、日向の事がーーーー!」
そこまで言ったところで、右足からグキリと嫌な音がして、捻ってしまった。
必然的に日向の方に倒れ込む。日向も、咄嗟の事に対応が遅れてしまい、あたし達は二人して草むらに転んでしまった。
「……いたた、っっ!」
起き上がろうとするが、右足の痛みで立ち上がれない。立ち上がるどころか、力も入らない。
仕方なくそのままにして置いて、クッションになってくれた日向の安否を確認する。
「ごめん日向~!だいじょう……あれ?」
あたしの下敷きになっている日向の顔は、何故か真っ赤に染まっている。