あの夏の空に掌をかざして

「…あかりちゃん……その、言いにくいんだけど」


 あたしは、日向の次の言葉を待つ。その間にも、日向は益々リンゴみたいに赤くなっている。


 目の前に日向の顔があることに、あたしも赤くなりそうだが、それよりも日向への心配の方が大きい。


「その……あかりちゃん、のが………………………………当たってる」


 今の状況を考えて、瞬時に理解すると、あたしも顔が真っ赤っかになっていくのが分かった。


「ごめっ、けど、その、わざとじゃなくて…………あと、………退けません…」


 仕方なく、日向に抱き起こしてもらう。その間も、日向の顔も真っ赤っかで、初めてみる日向の赤面に、なんだか不思議な気持ちになった。


「………あんま見ないでね、恥ずかしいから」


 日向は、顔を腕で隠す。あたしは、そんな日向に目を見開く。


 な、なにあれ、可愛い!すごい可愛い!あんな日向、初めて見た!!


 日向の新たな一面を見ることが出来た嬉しさと、少しは異性としてみてくれたかも、という期待が、胸を覆い尽くす。


「もう、ほら、早く帰るよ」


 日向はそう言ってあたしの手を掴み、何でもないように歩き出すが、まだ赤いままの耳は、全然隠せてなかった。


 ………可愛い。カッコよくて優しくて、可愛いなんて、ずるいなぁ。


 あたしは、更に、日向への想いが膨れていく事が分かった。



 あぁ、今、日向に、この想いを伝えたい。
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