あの夏の空に掌をかざして
第2章

1日目

 目が覚めたのは、真っ暗な闇のなか。


 自分の姿をも、見えないくらい。


「…ここ、どこ?」


 自分の声が反響して、幾つも後になって、エコーのように返ってくる。それが奇妙で、あたしは恐怖心にかられ、走り出す。


「日向っ!日向っ!どこ!?ひなた!」


 あたしの声が、足音が、幾重にも重なる。走っても走っても途切れない闇に、あたしの焦りと不安とが、心の中を支配する。


 その時だった、近くに、淡い光が灯ったのは。


「…光」


 そこに向かって歩き出す。何でもよかった。この闇を照らしてくれるなら。


 触れようとすると、その光はさらに輝きを増し、眩しさに、目を手で覆うあたしを、包み込んだのだった。


 ゆっくりと、目を開ける。


「っっ!これは!」

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