あの夏の空に掌をかざして
 そこは、最初に見たあの夢の場面だった。


 あの公園で遊ぶ、顔にモヤがかかった女の子と男の子。二人の楽しそうな声が聞こえる。


 女の子は出口に走り出す。男の子は、その子の後について走っていく。


 信号に差し掛かった所で、女の子はトラックに、


『×××ちゃん、あぶない!』


 轢かれることなく、ドンと男の子に背中を突き飛ばされ、転んだだけで済んだ。


 男の子が手を差しのべ、女の子はそれをとり、二人で歩き出す。


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