あの夏の空に掌をかざして
 光が無くなったのを感じて、ゆっくりと目を開く。


「……え?あたし、なんで家にいるの?」


 目の前には、ピンクを主調とした、可愛らしい部屋が広がっていた。
 

 よく見に覚えのある、あたしの部屋だ。


「……夢?」


 にしては、妙にリアルで、奇妙な夢だったな……。


 カレンダーを見ると、8月30日まで×がついている。


 ということは、今日は8月31日、夏休みの最後の日で、日向とのデートの日であると示している。


 時計を確認すると、もう9時59分。


「やばい!日向が来ちゃう!仕度仕度……あれ?」


 不意に姿見に写った自分を見ると、もう服を着ていて、髪も整えていて、靴まではいていた。ついでにバッグまで。


 …あたし、いつ着替えたんだろ、今起きたよね?


 その時、チャイムが鳴った。


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