あの夏の空に掌をかざして
「そういえば、この時逆町に伝わるある伝説を知ってるかい?」


 来た。あたしはそう思った。だから、先手を打つ。


「時を遡れる町……ですよね?」


 いきなり話したからか、はたまた当たっていたからか、おばあさんは驚いたような顔で、あたしを見る。しかし、直ぐにつまんなさそうな顔になって、「知ってたのかい」と言った。


 今度は、日向が感心したように「よく知っていたね」と言った。


「はい。だけど、どうしてそんな伝説が出来たんですか?」


「それは私にもわからんよ、だけど、ここは昔から霊的な力が強い町だったみたいだがね」


 ……霊的な…力。


 顎に手を当てて、あたしは考える。


 隣では、日向が話についていけなくて困惑した表情をしている。今はそれよりも、より沢山の情報を得るために、おばあさんに質問をする事に力を注いだ。


< 67 / 203 >

この作品をシェア

pagetop