あの夏の空に掌をかざして

「ごちそうさまでしたー」


「はいよー、またおいでー」


 おばあさんとの長話を終えて、お店を出る。


 あのおばあさんの話で分かったことは、3つ。


 一つ目は、この町は昔から霊的な力が強く、祈祷などにも使われていたこと。


 二つ目は、この町で「やり遂げたい」と強く思うと、その1日を300回までやり直せること。


 三つ目は、300回やり直した後は、どうなるのか分からないということ。


「あかりちゃん、すごい話聞いてたよね、こういうの好きだったっけ?」


 行くところもなくブラブラ歩いていると、日向からそう切り出される。あたしは、なんだか言ってはいけない気がして、「あー、うん、ちょっとね」と誤魔化す。


「それよりさ、これからどこ行こっか?」


 少し不自然だったかもだけど、話を逸らす。幸いなことに、日向は気にも留めず、これからの事に考えを巡らせる。


「あかりちゃんはどうしたい?」


「あたしはーーーー」

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