あの夏の空に掌をかざして

気づき

 あれから、あたしは「ループしている」事を確信した。そしてあの後、幾度か時を遡り、分かったことがいくつかある。



 【5回目】

 今回は、ループ時に身に付けていたもの等は、ループしても、その物体自体は時間が戻らず、そのままの状態でループできるということが分かった。

 その事を含めて、あたしは日記を付けることにした。

 これからは、気付いたことや分かった情報などは、全てここに書き記していきたいと思う。


 
〈今までで分かったこと〉


⚪あの町は、昔から霊的な力が強く、祈祷などにも使われていた。

⚪「やり遂げたいと」と強く思うと、その1日を300回までやり直せることができる。

⚪300回を越えると、どうなるのか分からない。

⚪身に付けていたものはそのままの状態で一緒にループできる。

⚪戻るのは8月31日午前9時59分のあたしの部屋。

⚪ループしているときは、全く眠くならない。


***


「ふぅ、これで5回目…」


 あたしは、自分の部屋に居ることを確認し、カレンダーと時間を見る。


 どうやら、ループするのは8月31日午前9時59分のあたしの部屋らしい。今までのループの体験からの、憶測に過ぎないけど。


 そしてもう一つ、あたしの手には、これまでのループには無かった日記帳。ピンクと白のシマシマで、ハガキサイズのノートだ。


 パラパラとそれを捲ると、1ページ目には、あたしが4回目の時に書いた落書きが、そのままの状態であった。


「あった……やっぱ、身に付けてたものはそのままで戻れるんだ!」


 新たな小さい発見は、けれどもあたしにとって確実な希望として、胸に刻まれた。


 ピンポーン、チャイムが鳴る。


 あたしは、ループする前と、合わせて6回目の日向とのデートをしに、玄関に歩き出した。
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