あの夏の空に掌をかざして
【33回目】

 普通に時間が流れていたら、もう10月の初め。

 早いなぁ、これで、もう33回目の8月31日を過ごした。

 今日は、やっぱりあの暗闇では、夢を見ることがわかった。

 何度も何度もあの男の子が時を遡って、女の子を助ける夢。


***



 あたしは、闇のなかにいた。


 33回目の日向の死を経て、またループするべく、この闇にやってきた。


 暫くすると、淡い光が灯って、それに包まれたと思ったら、毎回更新されるように増えていく、あの夢の場面に行く。


 あの公園で遊ぶ、幼稚園くらいの男の子と女の子。


 女の子が事故に遭う直前で、男の子は女の子をドンと押し、女の子は難を逃れる。


 その後商店街で看板が落ちてくるが、男の子はまたもや女の子を助ける。


 女の子を男の子が助けるということが何回も続いて、そして、それが33回程になった。


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