あの夏の空に掌をかざして
【142回目】

 どんなにシチュエーションを変えても、何度ループしても、日向が死ぬということは変わらない。今日思ったことはそれ。

 認めたくないけど、もう、その事実を受け止めるしかない。

 これまで、デートを取り止めにしたり、他の所に予定変更したりした。

 けど、どんなにやっても、8月31日に日向は死ぬ。

 でも、それでも、このループを止めることができたら、日向も助かるかもしれない。確信は持てないけど、可能性がない訳じゃないから。



***


 今回は、デートを止めて、あたしの家で過ごすことにした。


 何度も何度も同じデートに行くのは流石に飽きるし、家の中なら安全だと思ったからだ。


 お泊まり会もすることになったから、一日中日向を守ることができるはずだ。


 ……日向と一晩中一緒…。あたし大丈夫かな?けど、日向を守るためだもん!


「日向!なにか飲む?」


 離れてるのは不安だから、日向とずっと一緒にいる。

 今はリビングで二人でソファに座って、テレビを見ていた。


「じゃあ、お茶を貰おっかな」


 あたしはそれに、了解!と言って、台所にお茶を取りに行った。それでも日向が心配なので、チラチラと数回見てから、猛ダッシュで取りに行く。


 冷蔵庫からお茶を、棚からガラスのコップを2つ持って、リビングに走って戻る。


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