あの夏の空に掌をかざして
「はぁ、はぁ、持って……きたよ……はぁ」
「こら、重いものと割れやすいもの持ちながら走らないよ」
息切れしながら持ってきたあたしに、日向は呆れながら注意した。
あたしがしゅん、とすると、日向はフッ、とため息を1つつき、困ったようにまゆを八の字にして、あたしの頭にポンと手を置いた。
「これからしないんなら、いいよ」
「……はい」
あたしは頷いて、テーブルにお茶を置く。
片手でコップを持ち、片手でお茶を入れようとしてーーーーー手が滑ってしまった。
「あ、」
お茶は床にぶちまけられ、ガラス製のコップは2つともバラバラに割れてしまった。
「……ひ、日向…」
「……」
恐る恐る後ろを振り向くと、冷たい雰囲気を纏い、あたしを見下ろしている日向と目が合った。