あの夏の空に掌をかざして

「はぁ、はぁ、持って……きたよ……はぁ」


「こら、重いものと割れやすいもの持ちながら走らないよ」


 息切れしながら持ってきたあたしに、日向は呆れながら注意した。


 あたしがしゅん、とすると、日向はフッ、とため息を1つつき、困ったようにまゆを八の字にして、あたしの頭にポンと手を置いた。


「これからしないんなら、いいよ」


「……はい」


 あたしは頷いて、テーブルにお茶を置く。


 片手でコップを持ち、片手でお茶を入れようとしてーーーーー手が滑ってしまった。


「あ、」


 お茶は床にぶちまけられ、ガラス製のコップは2つともバラバラに割れてしまった。


「……ひ、日向…」


「……」


 恐る恐る後ろを振り向くと、冷たい雰囲気を纏い、あたしを見下ろしている日向と目が合った。


< 75 / 203 >

この作品をシェア

pagetop