あの夏の空に掌をかざして
 午後7時半。夕食を食べ終え、あたし達は明日の準備をしていた。


 事故があった時間をとうに過ぎたが、日向に何かが起こることはなかった。


 ホッとため息をつきつつ、拭えない不安感をどうすることもできなかった。


 その時、日向が立ち上がる。


「あかりちゃん、僕お風呂入ってくるね」


「あ、うん、いってらっしゃい!」


 お風呂という単語にピクリと反応したが、普通に日向を送り出す。


 ふぅ……、ここまできたら、もう大丈夫かな。


 "明日を迎えられるかもしれない"そんな期待が、胸の大半を占める。


 あたしは、完璧に油断していた。


 きっと迎えられると、根拠のない自信がそうさせたのかもしれない。









「うわぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁーーーーーーー!」


 お風呂場から、日向の断末魔の叫び声が聞こえた。
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