あの夏の空に掌をかざして
 スマホの向こう側で、まだあたしに怒っている楓に感謝しながら、あたしは一言一言心を込めて言った。


「ありがと楓……あたし、もう少しで、一生後悔するはめになるところだった」


『……』


「あたし、やっと分かったよ、今までほんとごめん、もう絶対諦めないから、ありがとう、気付かせてくれて……」


『……分かったんならいいよ、頑張れ!私はずっとあかりの味方だから!あかりには、あかりなりの魅力がいーっぱいあるんだからね!』


「ん……」


 目の前が、ほんの少しだけじわじわと滲む。


 やばい、ここにはいない楓に、今、すごい抱きつきたい。


 楓の言葉に元気付けられて、少しだけ、気持ちが軽くなって、少しだけ、自分に自信がついたような気がした。


 でも、この恋を叶えるために、あたしには何が出来るだろう、何の努力をすればいいんだろう。


 夏休みも残り2週間をきった。自室の壁にかけてあるカレンダーを見て考える。

 あっ!それじゃあ……


「ーーーーっ楓!あたし、夏休みの最後の日、デート!っ誘ってみよ…かな」


 自分で言ってて恥ずかしくて自信が無くなってきて、語尾はどんどん小さくなってしまったけど、楓にはちゃんと聞こえたかな。


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