あの夏の空に掌をかざして

「なんで…なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」


 目の前には暗闇。


 あたしは、日向が死んでいないのにループしている現実を、受け入れられなかった。


 なんで?どうして?ひなた、しんでないのに!!!たすけたのに!!!!


 何度も何度も時を遡って、同じ時間を過ごす度に、あたしは孤独感と恐怖感が募って募って、どうしようもなかった。


 自分だけがこんな辛い思いをしているという、孤独感。


 このまま時を無限ループを続けたら、という、恐怖感。


 この2つの感情は、あたしに取りついたように心の奥にすみ続けていて、時々顔を見せたかと思うと、一気に増殖して、あたしの心を蝕むのだった。


 怖い、怖い、怖いよ…。このまま、あたしばっか覚えてて、日向は何にも覚えてなくてーーーーー。


 その時、もう見慣れてしまった夢への淡い光が灯ったのが見えた。
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