あの夏の空に掌をかざして
 闇を過ぎて、あの夢の中にいた。


 初めの事故を切っ掛けに、女の子は何度も何度も危険な目に遭い、その度に男の子が助けていく。


「…あの子何回助けてるんだろ…もう170回目くらい?」


 空の色はもう、暗い藍とも、紺ともとれる色まで暗くなってきていた。


 ……こんなに遅くまでいるの初めて…。もしかして、これは大丈夫かも!


 そんな期待が胸に込み上げてくる。


 あたし達がループを終わらせられるヒントにも、なるかもしれない!!


 けれど、外の時計が午後10時をまわったときだった。


『っっげほ!』


 女の子が突然口から大量の血を吐き出して、そのままパタリと倒れ込んでしまった。


『ーーーーーーーーえ?』


 男の子は、暫く呆然と立ち尽くし、でもすぐに我にかえって、足元に倒れている女の子を揺さぶった。


『×××ちゃん!なんで!?今、なんともなかったのに!』


 ……なんで…日向と同じ…10時になったら、相手は死んじゃうってこと!?


 あたしは、それきり意識が遠退くのを感じた。
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