あの夏の空に掌をかざして

電話

 そして101回目の8月31日。


 あたしは、その場にぺたりと座り込む。


 暫くそうしていたが、やがてピンポーン、とチャイムが鳴る。


 行かないといけないのに、あたしは行く気が起きなくて、チャイムを無視してそのまま座り込んだままだった。


「……んで」


 ……なんで、あたしばっかり。


 こんなに苦しくて、怖くて不安で、寂しくてーーーーー。


 何度戻っても、日向は助からない。対処法が見つかるわけでもない。


 あたしばっかり覚えてて、あたしばっかり苦労して、そして、日向の死ぬところを見ていることしかできない。


 夢なら、よかったのに……。夢であればいいのに!!


「っ!」


 現実を認めたくなくて、手のひらをぎゅうっと握ると、左手の人差し指の痛みが、これは現実なんだと主張してくる。


 ……このまま、助けられなかったらどうなるんだろう。このまま永遠にループを続けることになったらどうしよう。


 答えようのない疑問に、不安感が更に増す。


「もうやだよ……」
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