あの夏の空に掌をかざして
「…あかりちゃん?もう約束の時間だよ?」


 ビクッと、肩がなる。日向が来てしまった。


 ーーーーーもう、言ってしまおうか。


 そんな考えが、頭をよぎる。


 そうすれば、あたしだけの秘密じゃなくなる。日向も用心するだろうし、一緒に考えてくれるかもしれない…。


 伸ばしかけた手を、片手で制する。


 ダメだダメだダメだ。こんな話信じてくれるわけない。もし信じてくれたとしても、自分が死ぬという事を知って、平常心でいられるわけない。


 ……あたしが、助けなくちゃ。あたしだけが、助けられるのに。


 どうしても、ドアの向こうに出たくなかった。

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