あの夏の空に掌をかざして
 もう、諦めちゃおっか。


 それが、考え続けたあたしの出した、1つの結論だった。


 時刻は午後6時。窓から差し込んでくる日は、いつのまにかオレンジ色になっていて、外からは帰宅する人たちの声が聞こえてくる。


 あたしは、ベッドに潜り込んで、ずっとずっと考え続けていた。


 …だって、もうどうすることも出来ない。なんど助けても、10時には日向は死んでしまう。明確な手掛かりもない。


「もう……頑張るのつかれた……日向のしぬ所なんて、もうみたくないよ……」


 何度目かの涙が、頬を伝った。


 その時だった。スマホから、着信を知らせる音楽が流れてきたのは。


「この音楽……」


 あたしはスマホに飛び付き、画面をのぞきこむ。


 そこにあったのは、"設楽楓"の名前。


 慌てて通話ボタンをおし、耳に近づける。


「も、もももしもし!」


『あかり?あんたどうしたわけ?今浜崎くんから電話があってさ、あんたのことよろしくって……て……泣いてる?』


「うっ……かえ、かえでぇ~!」


 久し振りに聞いた楓の声に安心して、あたしは暫く泣いていたのだった。

 


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