あの夏の空に掌をかざして
「ふぅ、これくらいかな……ひぃふぅみぃ……5冊かぁ」
二人合わせて5冊。ざっとみて数百冊はある歴史に関係した本のなかで、明らかに少ない。
「まぁ、こんな小さな地域について書かれた本なんて、これでも多いくらいじゃん?」
「それもそうだね、肝心なのは内容だし!気を取り直して調べよう!」
あたしはそう言って、5冊の中で、特に太い1冊を手に取り、読み進めていく。
〈時逆町の歴史〉
時逆町は、西側が海に面している、沿岸部にある小さな町です。
時逆町は、昔から霊的な力が働いていると云われていて、その力は100年ほどの、一定のサイクルで強まったり弱まったりしています。
次の強まる年は20××年だと言われています。
郷土料理としてはーーーー…。
20××年って、丁度10年前、あたし達が6歳のころだ……。
「んー、この本からはこれくらいかなぁ?」
情報として使えそうなことを、日記に書き足していく。
2時間ほどそれを繰り返して、最後の本を読み終わり、ふと楓の方を見ると、楓は、"時逆町の歴史"というタイトルの本を読んでいた。