あの夏の空に掌をかざして
そこで、「時逆町の歴史」は終わっていた。
「……楓…どうしよう、あたし…もし、消えちゃったら…」
震える手で、楓の服をつまむ。必死で振り絞った声は、今にも泣いてしまいそうな程、弱々しく震えていた。
「っそんなこと言わないでよ!やり遂げればいいだけじゃん!あかりは消えない!あかりが、消えるわけっっ」
楓が声を荒げる。あたしは、突然大声を出した楓にビクッとして、更に不安感が煽られた。
…どうしよう、怒らせちゃった…?あたし、また弱気になっちゃったから?
「……あ、ご、ごめんっそんなつもりじゃ!」
楓は、あたしのそんな様子に気づいて、さっきとは打って変わって思い詰めたような顔で謝った。
そんなとき、「お静かに!ここをどこだと思ってるんですか!」。図書館のおばさんの怒った声に、あたし達はもう外に出ることにした。