あの夏の空に掌をかざして
 出口を通りすぎて、二人で無言で暫く歩く。


 き、気まずい!どうしよう……何を言って、どうすればいい?


 それすらも分からない自分が嫌になって、泣きそうになった。


 視界の端で、楓が突然足を止めるのが見えた。


「……楓?」


 あたしの方が数歩先に歩いてしまった所から、ゆっくりと楓の方に向き、顔色を伺う。


「あかり……ごめんね」


 うつ向いていた楓は、蚊の鳴くような声であたしに、2度目の謝罪をする。


「あかりだって…不安だよね、ううん、あかりの方が、不安なんだよね…それなのに、私はーーーー!」


 思い詰めたような顔で、拳をギリギリと握りながら、楓はあたしと目を合わせることもなく下を向いたままで、言葉を紡ぐ。


 責めているのだ。楓は、優しいから。あたしに怒ったことに、自分を責めているのだ。


「そんなこと…」


「あるよ!…っけど!私だって嫌だから!あかりと離れるなんて嫌だよ!!」


 楓が、あたしに抱きつく。身長差があるあたし達だから、楓の胸に、あたしはスッポリと収まる。


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