【短】あなたの鍵が見つからなくて
怒りをぶつける場所が見つからず、あたしはそこにあった靴をドアに投げつけた。
「はあ、お腹すいた……」
怒りのせいか、気持ちを落ちつけろと身体が反応したのか、途端に腹が鳴り始める。
あたしは勝手に冷蔵庫を開けた。
「ヨーグルトしかない」
本当はヨーグルトは嫌いだけれど、腹いせにそれを食べてやった。
汚すなと言われたから、スプーンもヨーグルトのパックも放置してキッチンを出た。
気持ちが少しおさまったあたしは、ようやく出かける気分になって着替える。
「夕方4時までに出て行け? あいつ、そう言ったよね?」