【短】あなたの鍵が見つからなくて
なぜか謝られて、やっぱり何を考えているかわからなくて、困ってしまう。
「えっと?」
肩のあたりに顔を埋めてしまって表情は見えない。おまけに手は押さえられていて立てない。
男性とこんなに密着したのだって初めてで、あたしはここからどうしたらいいのかわからない。
勝手に鼓動は速くなるし、顔も熱くなるし、なんでこんな男にドキドキしなきゃならないのか、腹が立つ。
それに食べた後だし、ダイエットしてないし、絶対にあたし重いって思われてる。余計に恥ずかしくなってきた。
「ねえ、瑠佳さん! そろそろ……っ」
「別にお前のこと嫌いじゃないから」
「え?」
「嫌いじゃない」
瑠佳さんがなにを言っているのか考えてしまって、多分変な顔をしていたんだと思う。