【短】あなたの鍵が見つからなくて
「無理、あるし?」
大学に行くらしい瑠佳さんが、ドアに手を掛けながら睨む。
「じゃあ、俺が出て行く。今日は夕方4時に帰るから、お前はその前に出て行けよ」
「は? ま、待って。あたしは……っ」
「俺の部屋、汚すんじゃねえぞ。ブス」
言い返すより先に、瑠佳さんは思いっ切りドアを閉めた。
「ブス……?」
あたしにブスって言った?
昨日会ったばかりだし、年上だし、先に住んでいたわけだし、我慢しまくっていた。
だってそりゃ、気をつかうでしょ!?
それなのに、あいつ!!
「ぬあああああ!! ムカつく、ムカつく、ムカつくっ!!」