今日も一条三兄弟と××な日々。


「大丈夫。晶くんが透明になっても私が必ず見つけるから」

そう言って晶くんの頭を撫でた。すると突然その手を掴まれてグイッと身体を引き寄せられた。


「ああ、本当に困るなあ。抑えがきかなくなったらどうするの?」

晶くんが私の耳元で囁く。

いつもならここで無理やりにでも引き剥がすのに、あまりに強い力で抱きしめてくるからどうすることもできない。


「あ、晶くんちょっと……」

けっこう苦しいし痛いぐらいギュッとしてくる。するとゆっくり身体が離れて晶くんの唇が私のおでこに触れた。


「まりりん、ありがとね」

そう、また可愛い顔で笑う。

私は触れたおでこを押さえながら顔から火が出そうなほど恥ずかしいけど。晶くんがいつもの晶くんに戻ってくれたからホッとしていた。


「そろそろ授業のチャイムが鳴っちゃうから戻ろう」

「そうだね」

そして私たちは同時に立ち上がった。

廊下をキョロキョロと見渡して、どうやら生徒会の人たちはいないみたい。私が誘導するように晶くんを廊下に出した。


「でもちょっと危なかったな」

隣で追われてるとは思えないほどの能天気な声。


「危なかった?」

「うん。あのまま押し倒してまた触っちゃおうかと思った」

「なっ……!」

「一瞬嫌われてもいいからしちゃおうかと思ったよ」

あはは、と笑っている晶くん。

なにをしようとしてたかは想像しないことにして、とりあえず晶くんが生徒会に捕まらないことだけを今は祈ろう。
< 106 / 205 >

この作品をシェア

pagetop